松本市歴史の里において講演会が開催されました
松本市歴史の里において、令和元年(2019)8月24日に本研究室 梅干野 成央 准教授による講演会「松本の産業遺産」が開催されました。
松本市歴史の里は、北アルプスの山脈を背景に、旧昭和興業製糸場、旧松本区裁判所庁舎などの歴史的建造物が建ち並び、信州における近代の歩みと文化を今に伝えています。歴史的な遺産を身近に感じながら開かれた講演会は、小規模ながら和やかな雰囲気で行われました。
講演会では、産業遺産を解釈するために、地域性、時代性、機能性という観点が意識され、松本の産業に大きな影響を与えた蚕業と旧開智学校を建てたことで知られる立石清重を中心に紹介されました。蚕業については、歴史の里にある旧昭和興業製糸場からはじまり、養蚕業を生業としていた民家、蚕種を保存するための風穴、世界遺産で知られる富岡製糸場との関連など幅広く蚕業を支えた遺産が紹介されました。
今回の講演会を通して、産業遺産は、地域に根付いていた産業の姿を、今を生きる人にありありと感じさせ、人が生きた歳月の重さを伝えることのできる重要な遺産であることを改めて実感しました。産業遺産の価値は、地域だけでなく世界とつながり、一つの時代を解釈するうえで重要な役割を果たします。その価値を未来へとつないでいくために、今を生きる人たち一人ひとりが町の歴史を知り、保存・活用の方法を考えていくことが大切だと思いました。
文:大野 写真:大野